鎖骨変形による逸失利益を肯定した例2

鎖骨変形による逸失利益を肯定した例2

▼詳細

(事実の概要)
普通貨物自動車を飲酒運転していた加害者が、対向車の前照灯に幻惑され徐行または一時停止せずに、優先道路を自転車で横断中の被害者と衝突した。

(被害者の主張)
被害者は症状固定に至ったものの、本件事故により肩が陥没し鎖骨が突出するという著しい奇形を残し、上肢の運動制限が残り、更に未だ肩部、首等に頑固な痛み、しびれ、凝り等の神経症状が残存する。鎖骨の変形が等級表12級5号に、上肢の運動障害が12級6号に、神経症状は12級12号に該当するものであることから、労働能力は少なくとも14パーセントを喪失した。

(加害者の主張)
被害者は症状固定しており、その後遺障害は等級表14級10号にとどまる。
つまり、左肩関節脱臼による鎖骨の変形は、手術によって回復可能であるため後遺障害とは言えない。仮に、鎖骨の変形が等級表12級5号に当たるとしても、鎖骨脱臼により肩関節の機能障害が生じることはないから労働能力喪失割合は限られたものとなる。肩関節の機能障害は、退院時においてほぼ正常であったこと以外に、後遺障害診断書記載の数値に疑問があり、仮に、これが正しいとしても、これが生じたのは原告のリハビリ不足によるものであることからすると後遺障害とは言えない。神経症状については、レントゲン・脳波検査の結果等により、他覚的に神経障害が証明されていないから等級表14級10号にとどまる。

(裁判所の判断)
被害者の傷害の部位、程度、特に加害者の鎖骨の障害は、単なる変形だけでなく、肩関節の屈曲障害、神経症状も伴っていること、原告の職業、性別、年齢等を考慮し、自賠責及び労災では等級表第12級の労働能力喪失率が14パーセントと取り扱われていることは当裁判所に顕著であること、被害者は本件事故により後遺障害が残り、労働能力の14パーセントを喪失し、障害の性質を考慮して、これは障害継続するものと言える。

なお、加害者は「肩関節の屈曲障害は鎖骨の脱臼によって生じるものではなく被害者のリハビリ不足からくるものであること、被害者が勤務を継続していることからその逸失利益は限られたものとなる。」といった旨の主張しているのでこれらの点について判断する。第一の点については、確かに、リハビリ不足を原因とする障害を等級表上の独立した後遺障害となりえるかについて異論はあろうが、今ここで問題となるのは等級表12級5号にあたる鎖骨の変形障害からくる労働能力喪失割合を判断するに当たり、左肩の屈曲制限を考慮すべきかしないべきかという点である。被害者の左肩屈曲障害は、リハビリ不足という要因があったとしても鎖骨の障害に伴って生じたものであるということに疑いを入れる余地はなく、当然喪失率を判断するにあたり考慮されなければならない要素である。第二の点については、被害者の就労による収入は逸失利益の算定の基礎となる収入の3分の1程度であることから減収が無かったことを重視することはできない上、さほど安定した職業でもなく、またその職種は肉体的負担の少ないもので、被害者が勤務を継続するためには相応の努力が必要であることを考えると、加害者の主張は、いずれもその根拠に乏しいと言わざるを得ない。

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